フランス料理の定番デザートをご紹介します。
フランス人の日常で人気があるもの、歴史的に無視できない大御所的なデザートがあります。
レストタンで食べるデザートは、メインディッシュの後、コースの最後にでてきますが、お持ち帰りができないその瞬間を味わるののです。
2024年9月、サントノレ・オ・セザムを追加しました。
- フランス料理の定番デザート
- まとめ
フランス料理の定番デザート
まずは定番デザートからご紹介します。
ババ・オ・ラム
ラム酒漬けのスポンジケーキにシャンティイーのクリームと一緒に食べるデザートです。
ラム酒には砂糖も入っていて、甘いスポンジケーキになっており、その上に、シャンティイーの生クリームを飾ります。
カタカナにすると、ババオラムか、ババオロムと書かれていますが、ババ・オ・リュムがカタカナでは近いです。 が、ババオラムで統一します😊
ババには決まった形がありません。 細長のタイプや半分切りのタイプがあります。
ババ・オ・ラムをレストランで注文すると、ラム酒をさらにかけてサービスしてくれます。
ババには、たっぶりのラム酒をかけてくれます。カフェではできないのですが、レストランのババだと、この風習というのか、しきたりは残っています(^^♪
ラム酒のスポンジケーキが正式な作り方ですが、コスト削減で、フランスパンの残りを使ったのは、こんなババになっています。
この↓ババは、パティシエのヤン・クヴラーさんのババです。 アルコールなしで、中にはストロベリーのジャムが入っています。
そして、最後が、パリでもっとも古いストーレというパティスリー店のババです。
メレンゲ
メレンゲのデザートも、いわくがいっぱいです。
パヴロヴァ
パヴロヴァ(Pavlova )の名前は、ロシアのバレエダンサー、アンナ・パヴロワへ贈ったとされており、1926年あたりにオーストラリアとニュージーランドへパヴロヴァさんが行った際に食べたデザートで、それが由来となっています。
基本的に、パヴロヴァはサクサクのフレンチメレンゲです。 フレンチメレンゲは、サクサクです。 ところがイタリアメレンゲにして作ると、しっとりになります。
パリのベルビルにあるLe Hérisssonというレストランのパヴロヴァです。シェフのインタビューも入れています。
多くのパヴロヴァは、バレリーナのチュチュ(ヒラヒラのスカートみたい)をモチーフにもしています。 これは、そのチュチュが逆さになっているモチーフです。 小さなメレンゲがまるで白玉団子のようで、飾り台もメレンゲです。
次は、メレンゲの「オムレット・ノルヴェジエンヌ」です。
オムレット・ノルベジエンヌ
オムレット・ノルヴェジエンヌも、メレンゲの代表的なデザートです。 スポンジケーキの中に、アイスクリームを入れて、それをイタリアンのメレンゲで囲み、オーブンで焼いたものです。
出来上がりは、お家が完成した感じになっています(^^♪
アイスクリームが見えます。
このデザートは、手早くしないと、中のアイスクリームが溶けます。 作ったメレンゲを手早く形よく載せ、オーブンで1分くらい焼いて、軽く焦げ目をつけます。
このオムレット・ノルヴェジエンヌは定番ですが、レストランでもそうでてきません。
イル・フロトンㇳ
イル・フロタント(île flottante 発音はイルフロタントと最後のトを発音し、浮島という意味です)は、フレンチメレンゲで作り、クリームの上に飾っています。
このクリーム色のクリームは、クレーム・アングレーズです。
牛乳と卵を混ぜたクリーム色のさらさらしたクリームです。
メレンゲを作って、クレーム・アングレーズをかけて、その上に砂糖をほんのり焦がしたキャラメルソースをかけています。
このくらい大きなサイズででてくるのは珍しいです。日本のオムライスくらい大きかったです。
形はいろいろあります。
レモンタルト
タルト・オ・シトロン・ムランゲ
フランス人はレモンタルトが一番好きなのか、とりあえずレモンタルトのメレンゲ載せが多いです。
メレンゲと、レモンクリームのカスタードクリームを雫の形にしています。
こんな飾りも綺麗ですね。
タルト・オ・ユズ
メランゲには、フランス風とイタリア風があり、イタリア風のはしっとりしています。
タルト・オ・シトロン
このレモンタルトは分離させていて、そこに抹茶のメレンゲを飾っています。 パリ13区のロベルジュ・ドゥ・グラドロンというレストランのレモンタルトです。シェフのインタビューも入れています。
タルト・オ・シトロン(定番のレモンタルト)
一番オーソドックスな形は丸形で、台のサブレに、レモンのクレーム(レモン汁と卵とバターのクリーム)のアレンジがされています。
レモンタルトはこちら↓の記事も参照ください。
ダクワーズ
ダクワーズはアーモンドプードルのイタリアンメレンゲで作り、「ダクワーズのビスキュイ」と言い、 円盤型にしたものです。
スキュセ
スキュセは、ダクワーズのビスケットを使い、中にクリームを挟んだデザートです。
スゥクセの意味はフランス語で、成功という意味です。
中に入れる生クリームの味はバリエーションがあり、プラリネのクリーム(ヘーゼルナッツのクリーム)や、ラズベリーなどあります。
これはラズベリーソースです。
名前は、スゥクセ、または、プログレとも言うときもあります。ダクワーズをベースにしたこれら2つの明確な違いはないです。
マカロン
おなじみのマカロンもメレンゲのデザートです。
マカロンの生地の材料は卵白の中のアーモンド・プードル(アーモンドを粉にしたもの)の割合が大きいです。
マカロンの生地の焼き方もありますが、中に入れるフルーツのアレンジで、見た目も味にも影響があります。
ムラング
このメレンゲは、フレンチメレンゲなのに、まるで、イタリアアンメレンゲで、上にフルーツがり、とっても繊細なメレンゲです。
こちらの記事には↓フレンチメレンゲとイタリアンメレンゲの違いを書いています。
シュークリームは、フランスでそう一般的ではありませんが、このパリ・ブレストは外されません。
パリ・ブレスト
パリ・ブレストは、名前で有名なデザートです。
デザートとしては、簡単なものですが、シュークリームの間に、アーモンドとヘーゼルナッツのムスリムプラリネクリームがたっぷりとサンドされたデザートです。
由来は、パリとブルターニュ地方のブレスト間で自転車競技の優勝者に王冠の形にしたデザートとなったと言われています。
上部には粉砂糖とアーモンドスライス添えれています。
中のクリームは、ピスタチオ味です。
ルリジューズ
ルリジューズは、フランス語で、宗教のという意味で、2段構えのシュークリームに、チョコレートか、モカがかかっています。
発祥の地はパリのフラスカティというカフェで、ナポリ出身のアイスクリーム店が作っていました。
形は、下のシュークリームが上のシュークリームの、2倍の大きさで、上下の間には落ちないようにバタークリームがあります。
パリのトップパティシエのクリストフ・ミシャラクさんのルリジューズは、バタークリームがかなり濃厚で、キャラメル味で、シューがアーモンド・プードル入りと、超豪華。
下のルリジューズも、シューがアーモンド・プードル入りです。
プロフィトロール
プロフィトロールは、カスタードクリームか、シャンティイクリームの入ったシュークリームにチョコレートがかかっています。
今は断然、シュークリームの中には、アイスクリームはいっています。
ミル・フィーユ(ミル・ファイユ)
その他に定番中の定番には、ミル・フィーユがあります。
ミルフィーユと名前で知られていますが、フランス語では「ミル・ファイユ」と言われており、1000枚の葉という意味です。
パイ生地が何重にもなっているので、そう呼ばれています。特に良質なバターで良し悪しが決まりますね。パイ生地のさっくり感を出すのが難しい、3層構造の職人芸です。
同じミルフィーユでも、パイ生地がないのもあります。
サントノレ
サントノレも、デザートの定番です。
パリのシブストというケーキ職人さんが作ったデザートで、パリのサントノレ通りの名前からきています。
シューの中には、クレーム・パティシエールではなく、シブスト・クリームが入っていて、シューの上を、キャラメルで覆っています。
シュークリームの上には、シャンティイクリームが沢山です。
この↓サントノレは、ヴァンドーム広場の近くの、ハイアットホテル(Park Hyatt Paris-Vendôme)のサントノレです。
サントノレ・オ・セザム
サントノレの生クリームがゴマのクリームになっている、サントノレ・オ・セザム(Saint-Honoré au sésame )です。
シューの中にも、ゴマクレームがはいっています。
パンナコッタ(パナ・コタ)
パンナコッタは、フランスでも市民権を獲得したかのデザートで、レストランのメニューにはかならずと言っていいほど登場します。
牛乳とゼラチンで固めるだけの簡単なデザートですが、食べたときのど越しが良いので人気です(^^♪
同じパンナコッタですが、円柱に仕上げています。グラスの容器に入れて、上から果物のジャムや、クリ(果物を液状にしたもの)をかけるのがほとんどですが、円柱の上にさらに装飾をしてあるのも、さすがですね。
中にさらに黒サクランボのジャムがあり、甘さ控えめです(^^♪
フルーツのスープのデザート
スープというと前菜をイメージしますが、果物のデザートでもスープという言い方をします。
ミキサーでジュース状にしたものや、細かく切って水分感を演出して、デザートとして出しています。
スープ・ドゥ・ベトラブ
べトラブという野菜(赤株に似ている)をミキサーにかけて、砂糖であまく味付けしています。
ミントを添えるとまた綺麗です(^^♪
お皿に盛り付けして、シャーベットを添えた夏のデザート。さっばり感がいいですね(^^♪
スープ・ドゥ・マング
果物のマンゴのスープです。マンゴの甘みで砂糖をいれない健康的なデザートとして親しまれています。
スープ・ドゥ・フレーズ
イチゴのシャーベットとスープの間の感触です。
ソルベ・ドゥ・フレーズ
イチゴシャーベットにメレンゲつきででてきました。
スープ・ドゥ・フリュイ
スープ・ドゥ・フリュイは、果物かんづめのイメージで、色んなフルーツのシロップ漬けのデザートです。
生クリーム系
フレーズ・ア・ラ・シャンティイー
イチゴのシャンティクリームかけです。生クリームのをホイップにした、イチゴにかけてあります。クリームが常温でも持つので夏には良くでてくるデザートです。
アイスクリームの上に、シャンティイーをのせ、アマレナのシロップにサクランボをつけて煮込み、出来上がったサクランボをのせます。
アマレナは、写真の下の手前の黒っぽいサクランボです。アマレナを使うと、生クリームはシャンティイーが一般的です。
フォンテーヌブロー
あまり聞きなれませんが、フォンテーヌの森のような名前ですが、フロマージュ・ブロンと生クリームで泡だでたふわふわクリームです。
シャンティは、スポンジケーキやシュークリームの中にはいっている、泡だてられた生クリームですが、〚フォンテーヌブロー〛はその中にフロマージュブランを混ぜています。
ですので、味は軽めです。特徴は泡が立っても軽めで、潰れやすいことです。そこは生クリーム100%とは違います。
イチゴのジャムや、果物を真ん中に入れたりと、フルーツを楽しめます。
フォンテーヌブローは、常温ではホイップが持ちません。
リ・オ・レ
あまりご飯のデザートです。残ったご飯を牛乳で煮込んで、少しバニラで風味をつけたデザートです。
欧州でご飯のデザートなんてないのかと思っていましたが、スペインのカタロニア地方にも、〚クレーム・カタロン〛と言って、このリ・オ・レに似た同じ作り方をしているデザートがあります。
ティラミス
ティラミスは、イタリア系のデザートですが、このデザートもしっかりと市民権を獲得したといえます。
今はイタリアのチーズの、ブラタチーズやモッツアレラチーズの人気もあり、このティラミスには、マスカラポンチーズが使われていて、まったり感がありたまらなく美味しいです(^^♪
ガトー・オ・ショコラ
ガトー・オ・ショコラは、英語にするとチョコレートケーキです。チョコレート入りケーキは、これも定番中に定番です。
シャンティイクリームと、クレーム・オングレーズ添えで食べるのが一般ですが、このチョコレートのケーキのチョコレート度をどうするかで、随分とバリエーションがでます。
このガトー・オ・ショコラは、他にも言い方があり、また名前がはっきりしないのも事実です。
言い方が、
- モエルー・オ・ショコラ(溶けているチョコレートケーキ)
- フォンダン・オ・ショコラ(溶けているチョコレートケーキ)
- クラン・オ・ショコラ(溶けて流れ出るチョコレートケーキ)
と、溶けているとろーっとしたチョコレートケーキを表現しています。 上の2つの、モエルーと、フォンダンは、シェフの命名も一定していません。
モエルー・オ・ショコラ
フォンダン・オ・ショコラ
モエルーとも、フォンダンとも言わない場合もあり、
この↓ガトー・オ・ショコラは、塩味のキャラメルクリーム添えです。 濃厚なチョコレートと、キャラメル味がとってもいい組み合わせです。
この↓ガトー・オ・ショコラは、ストロベリーのアイスクリーム添えです。
最後のこのガトー・オ・ショコラは、クラン(coulant)といって、流れるという意味です。
ケーキをスプーンでカットすると、そこからチョコレートが流れ出る感じです。
最後のクラン・オ・ショコラは一番流動的です。
ガトー・オ・ショコラについては詳しくまとめています。
オペラ
「オペラ」は随分と見かけなくなったとはいえ、定番からなくなることがないデザートです。
ビスキュイ・ジョコンド(アーモンドプードルと卵、小麦粉)のスポンジと、チョコレートや、コーヒーのバタークリームを何層かに重ねているので、その食感はガトー・オ・ショコラではでないのがこのオペラの魅力でしょう。
このオペラは、パリのガルニエのオペラ座のレストランのオペラです。
次は、残り物系のデザートです。
パン・ペルデゥ
残ったフランスパンを無駄にせずに使うという考えのデザートです。卵、砂糖、牛乳をバターをひいたフライパンで焼いたお菓子で、アイスクリームとジャムと一緒に食べると美味しいですね。
同じパンペルデゥでも、ブリオッシュを使った、ブリオッシュ・ペルデゥです。
これ↓はピエルール・エルメのパンペルデゥです。塩味ですので、デザートではなくメインディッシュです。
クラフティ・オ・スリーズ
サクランボのクラフティです。こんな素朴なデザートが人気なのと疑問に思われる方もいるかもしれませんが、そんな素朴さが人気の秘密です。
いつもおしゃれなデザートばかりというわけではなく、このような卵と小麦粉で作った家庭の味は定番で居続けるということですね。
クレーム・カラメル
クレームキャラメルも卵と牛乳の素朴なデザートで、どんなに綺麗なデザートが出てきてもなくならないデザートで、定番のデザートとして健在です。
リンゴ
クルスダッド・オ・ポム
は焼き林檎で、周りがパイ生地で中がすりリンゴです。
パイ生地の中にすりリンゴを入れてオーブンで焼きその上に砂糖をまぶします。
バターと砂糖で味付けしていますが、ショソン・オ・ポムにすりリンゴの部分が似ていますが、パイ生地で焼き上げているので、歯ごたえのある食感です。
タルト・タタン
は林檎のタルトですが、林檎のタルトとの違いは、キャラメルで炒めているところです。
パイ生地を型のかぶせてオーブンで焼きあげるので分厚いのですね。
キャラメル味なのに、さらに生クリームと一緒に食べることが多いです。
同じタルトタタンですが、シャンティイ添えです。レストランのタルトタタンで、プレゼンがやはり違いますね。焦げない位にキャメルが焼かれて美味しいです。
イチジク
ナシ
最後に手の込んだ、シェフの傑作をご紹介します。
ポワール・ポシェ
赤ワイン煮込んでいて、ワインの煮込みで色が鮮やかです。
ポワール・ロティ
ちょっと高級なとろこでなら定番になっています。
赤ワイン煮込みで、色目が強くなっていて、中に、ビスケットを入れていまる、ポワール・ロティです。
このポワール・ロティは、パリのパレロワイヤルにある5★ホテル「Grand Hôtel du Palais Royal ル・グラン・オテル・ドゥ・パレ・ロワイヤル」のレストラン「Le Lulli ル・リュリ」のシェフのオリウ(Orieux)さんの作品です。 Orieuxさんのインタビューはこちら↓へどうぞ。
メルバ(ポワール・ロティ)
ポワール・ロティのキャラメル味のメルバです。
メルバはオペラのソプラノ歌手の名前で、巨匠エスコフィエの発案のデザートです。
これは洋ナシをキャラメルで覆って、マスカラポーネのアイスクリーム添えです。
一つ星のレストラン「Apicius」のメルバ↓です。美味で~す(^^♪
まとめ
フランスの定番のデザートをご紹介しました。
デザートは大体がパティシエさんが作っているデザートでパティスリー店でうられているか、レストランで食べるデザートなら、アラミニュットといい、作りたてのパティスリーです。メニューのメインの後にでてきて、その瞬間の演出を楽しめる「瞬」のものです。
反面、パティスリー店には素朴なデザートも定番でずっとあり続けるものがあります。
定番には定番の魅力があるから、永続的なのですね。