股関節のあの激しい痛みは、経験した人でないと分からないだろうと思います。
私は5年前、股関節がひどく悪くなり、手術を受けました(人工股関節置換術)。
2年間をかけ徐々に強くなった痛みは、そのうち本当に強烈なものになってきて、歩くこともままならなくなりました。頭には「手術」の2文字が浮かび、怖いなぁと思ったり、受けたとしても本当に歩けるようになるんだろうかと思ったりしました。
結局病院に行き、手術を受ける決断をしたのですが、その時には50メートルも歩けないほどでした。
そんな私でしたが、手術によって今は普通に暮らせています。普通に歩けます。それは本当に良かったと思っています。
私がどう医師を選んだかから、実際に股関節手術に至る過程、術後までをまとめてみました。
私の経験が、今まさに痛みと手術の不安に悩まれている皆さんの、お役に立てれば幸いです。
股関節の痛みで歩けなくなるまでの過程
股関節が徐々に悪くなってきた日々
股関節の手術をしたのは50歳になる前だったのですが、その2年前位から少しずつ痛みが出てきていました。
最初の内は半日外出していると股関節が痛くなってきていたのです。最初は、原因も何も分りませんでしたので、靴のヒールの高さが合わなくて痛みが腰に来て、それで股関節が痛くなっているのかなと思っていました。
それで当時は家に戻ってから寝転んで、両足を上げて壁につけていました。そうすると痛みも軽減されていたのです。
しかし1年もすると痛みが段々と大きくなり、30分も歩いていると痛みで歩けなくなってきたのでした。
何か不定期なことで痛くなるというのではなく、毎回外出すると痛くなるのは可笑しいのでなにか原因があるのかなと疑問に思い始め、内科医の診断を受けにいくことにしたのです。
内科医の診察を受ける!
まさか自分が変形性股関節症だとは夢にも思わなかったのですが、内科医の診断を受けに行きました。
そうすると、股関節の軟骨が磨耗しているのではないかと診断されました。そしてレントゲンを撮ったのです。
すると内科医が言うように、レントゲンで見ると私の右の股関節の軟骨は殆どなくなっていたのです。手術をしたのは右の股関節ですが、レントゲンではこの画像の左側です。左側の軟骨が磨耗しているのが分かります。
手術前の軟骨が磨耗していた時のレントゲン画像(赤線で間隔を示しています)
この位軟骨が磨耗していたので、立っているだけで痛かったのですね!
そしてこの手術を受ける前には人生で最も体重が重かった時期です。立っているだけで股関節が痛く家にいる間は、ずっと寝るしかなかった時期でした。
どうするべき?〜私の状態について医師が語ったこと
医師に言われたことは、
- 軟骨は磨耗して行ってもっと痛くなり、リハビリで治癒はない
- 手術すれば以前のように歩けるようにはなるが、再手術の可能性がある
と言う事でした。
症状にもよると思いますが、私の場合はもう軟骨が磨耗し殆どない状態まで来ていましたので、リハビリでどうにかなるという状態ではありませんでした。
ですので、手術をすれば、また以前のように歩けるようになると言う事でした。しかし、医師は再度手術をしなければならない可能性があると言うのでした。
再手術の理由は、この人口股関節の寿命が15年とも20年とも言われています。もしかすると30年持つかもしれないとも言うことです。
そうすると、50歳で人工股関節置換術をした場合に、約70歳のときに、人工股関節の寿命がきて、再度手術になる可能性があると言われました。
70歳過ぎになると、もう高齢ですので、その時に手術を受けられる精神的気力や、肉体的な体力があるかという事ですね。
そのような事を考えて、我慢して60歳位まで待って手術をする人もいると言う事も言われました。医師は私に、「よく考えてみて下さい」と言いました。
実際にこの手の人工股関節の手術を受ける患者さんはお年寄りが多いと言うことでした。また、「手術をしないで我慢しているのお年寄りもいて、お年寄りは殆ど家にいるので、外出しても歩数が少なく、我慢して手術をしないで寿命を迎える」と言うことをその時聞きました。
まだ50代だと、ずっと家にいる訳には行きませんので、もし2回手術をする事になるのは不安ではありましたが、でも、我慢してあと10年この痛みを我慢できるかと考えかと考えてました。
手術って怖い!〜そう思った時私が考えたこと
手術をする決断がなかなかできなくて、できればしたくないと思っていました。心配ですし、手術が100%成功するとも限りません。
それで、私はかかりつけの内科医から紹介状をもらい、関節リューマチ医の診断を受けに行きました。
レントゲンを持って診察に行くと、経験豊かな関節医の先生の診断によると、すり減った軟骨はこのままもっと磨耗して行くので、リハビリを行えば一時的に痛みが和らぐが、それは持続するものではないと説明を受けました。
ここで、手術をしないで済むという〚希望〛は絶たれました。
それで手術を受けるにしても、当分の間痛みを和らげられるように、リハビリができるように整骨院を紹介してくれました。リハビリは水中リハビリと言って、水中で運動をすると浮力で痛みがなく筋肉をつけることができるのですね。
でも、整骨院で水中リハビリをしても、軟骨が復活するわけではないのですね。何時間かは良くても、すぐ痛くなり歩けなくなりましたので、医師の言う通りでした。
ついに手術を決断!どのように病院を選ぶか
私はたまたま薬局の薬剤師さんの紹介で、外科医を紹介して貰えました。杖をついて薬を買いに行っていましたので、薬剤師の方のお母さんも私と同じ股関節置換術を受けたということで、偶然紹介して貰えました。
評判も良かったのでその先生が勤務する病院で手術を受けましたが、医師と病院を選ぶのには
- 医師の評判
- 病院へ家族がお見舞いに来やすいか
- 入院期間
- リハビリ期間
- 費用
この5点が大事かと思います。
入院中に家族が全く来れないとそれも寂しいですし、また入院期間が1週間ですぐ退院するとなると、家でリハビリをすることになり、退院後家族の助けがないと回復は無理です。
1週間で退院となったは良いが、家での受け入れができていないと、折角手術が成功しても家で脱臼するなどのリスクもあり得ますので、しっかりと退院後の生活も考えて病院をえらばないといけないと思います。
リハビリも系列の病院でする方が良い場合は、リハビリも含めて手術を行う病院の方が良いのかもしれません。
料金もそうですが、入院期間と退院後の家族の支えを一緒に考えないといけないと思います。
- 手術で使う人口股関節の質
- 外科医の先生が太腿のどの部分を切り開くのか
- 入院期間
- 保険適用
手術前日と入院前にそろえるもの
弾性ストッキングを履くと膝下まで届きます。伸縮性があるというのか、かなり強力です。
私の手術は朝の9時からでした。病院へは、前日の夕方5時までに
- 杖
- 弾性ストッキング
これらを持って病院に行きました。弾性ストッキングは手術した翌朝から使います。
晩御飯も夜7時位に食べて、なにか神妙な気持ちで食べました。そして、夜シャワーを浴びるときに、薬でシャンㇷ゚ーをして、スタンバイokです。
そして、
翌日の朝を待ちました。
ちっと不安な夜でした。
実際の手術はこうだった
行う手術は、磨耗している股関節の部分を人口の股関節に変える手術です。この人口股関節を太腿の骨の中に埋め込むのです。下記の画像のように、左側の人口股関節が太ももの骨に埋め込まれたのが分かります。
これで人口股関節と骨盤の間に間隔ができますので、軟骨がなくても、骨と骨が当たらなくなり、歩行しても痛みは無くなるのです。
手術の後は、左側はセラミックで置き換えられました。
手術は2時間半かかり、大掛かりな手術です。
大掛かりという意味では、太腿を20cm位切り開いて、太腿から骨を取り出し、人口股関節を入れますので手術後は大変です。
手術後痛みがやってきて、鎮痛剤の点滴を打ってもかなり痛いです。
また術後の傷について気になる方も多いと思いますが、肌質にもよりますが、6年経過した今でもはっきりと18cmの傷跡が残っています。
手術後の痛みと入院中の回復
手術当日
手術が無事終わって目が覚めると、まだ麻酔が効いていますので痛みはないのですが、手術後暫くしてから、本当の痛みがやってきます。
そうなれば、〚痛いってもんじゃありません!〛
看護婦さんが何時間かおきに来て、鎮痛剤の点滴を打ってもかなり痛いです。痛み止めの飲み薬をくれますが、ずっと2日間は痛いです。ここはぐっと我慢ですね。
入院中の回復
しかし、3日目位から、動かないかぎり痛みは無くなります。昨日までの痛みは何だったのでしょうと言うくらい、痛くなりなります。
ただ寝返りも打てないのですね。手術した方の太腿の方を下にしては眠れないのですね。片側でしか眠れないのはつらいですよ。
そして、4、5日すれば、杖で病室の中も歩けるようになり、1週間もすれば、廊下も杖で歩けるようになります。
手術後1週間の病院での生活について
術後3、4日すると杖を使って歩けるようになります。できることは、
- トイレに自分で行く
- 洗面所でシャンプーをする
くらいのす。それにトイレに行って、便器に座るのでさえ最初は大変です。腰を上げる下げるだけで、傷にひびきますので、ゆっくりとするしかないのですね。
入院期間は1週間でしたので、退院する前日に1時間だけ、リハビリの先生と階段の上り下りの練習をしました。
手術をした足を階段でどう下すかと、杖の使いを教えて貰いました。
1週間でできることは、
- 病院の廊下を50メートル歩く
- 杖を使って階段の上り下りをする
この位です。
医師の考え方や、病院の方針で、退院をさせないで、そのままリハビリ病棟に送るという病院もあります。
リハビリをするしないというよりは、術後自分一人で出来ないことがあるので、自宅に戻って一人だけの生活であれば、事故を避けるには入院を続けるほう良いですね。
手術が成功しても、術後にまた脱臼することもありますので、気をつけたいところです。
私の先生は、日常生活ができるようになる事がリハビリとの考えで、1週間で退院させられました。でも家に戻れたのは旦那さんが、有給を3週間取ってヘルプしてくれたからです。
特に弾性ストッキングを履かせることや家事をやってくれました。弾性ストッキングは血栓防止には必要なものですが、退院して一人での装着は無理ですので、1週間で退院して、家に誰もいなければ、そのまま入院をした方良いことになります。
家に戻ってからのリハビリと現在
手術後、普通の生活に戻れるまでの期間
普通の生活まで戻るには、最低で1か月です。また普通という考え方ですが、
- 道を杖なしで歩ける
- 買い物に一人で行ける
となるまでは、2か月かかりました。
あとは、満員電車に乗って、押されても大丈夫かは疑問が残ります。。。
退院後私は2か月で、電車通勤で仕事の復帰をしましたが、朝の満員電車で突き飛ばされないように、朝は時間帯を変えました。
会社勤務の場合は、仕事を復帰してから1か月、通勤時間をずらすなどの処置が必要と思います。
手術後に家で行うケア
リハビリとも関係ありますが、術後の生活がその後の生活を左右します。
その位、注意しないといけない事があります。
- 弾性ストッキングの着用
- 足はクロスしない
- クッションを足に挟んで寝る
簡単なようですが、一人でできませんので、誰かにやって貰います。
入院期間が1か月ある病院であれば、弾性ストッキングを看護婦さんが履かせてくれますが、もし1週間ででると、自分ではできませんので、家族でやってくれる人がいないと、入院できる病院を選ばないといけなくなります。
また最初は毎日傷口の消毒があります。状態にもよりますが、1か月位かかります。
退院してから1か月は畳の生活はできません。
- しゃがむ
- 横座り
などをすると、そのまま脱臼になる可能性があります。
大変な手術ですが、それと同じくらいに退院後もずっと気を使わないといけません。
長期戦で考えましょう(^^♪
今後の不安について
手術して、普通の生活ができるようになりました。なんとも有り難いことですね。
毎日長時間歩いても、痛くもなりませんし、外からは、手術をしたことは誰からもわかりません。
将来の不安は、やはり骨粗鬆症でしょうか。
いくら、良質なセラミックの股関節があっても、その土台である骨盤の骨が脆くなっては元も子もありません。
ですので、食事にはすごく気をつけていますし、また運動も適度にかならず行い、骨粗鬆症対策は徹底して行っています。
まとめ
手術を受ける前は不安な毎日でしたが、本当に手術は受けて良かったです。今は何時間でも歩けます。ただし激しいスポーツだけは避けています。
退院後の痛みとリハビリについては、別記事でさらに詳しく書いています。
将来の再手術については、70歳位で行うことになるのか、分からないですね。もしくはもう大掛かりな再手術をしなくても済むのか。技術は進歩していると言います。
この変形性股関節置換手術を受ける方も多いようですので、少しでも参考にして下さい。
良いお医者さんに手術をして貰って、また以前のような生活ができると良いですね。(^^♪