フランス料理の「ガルニチュール」の役割は大きく、見た目で食欲をそそります。
ガルニチュールはフランス語で「付け合わせ」の意味で、「ガルニール(=備え付ける)」から来ています。
このガルニチュールは、肉や魚の横にあるお供で、いわゆる引き立て役です。
単純にステーキに、ジャガイモが添えられているというものから、ピューレなど、色々な素材と配色でアレンジするものまであります。
そこでこの記事では、ピューレ、お米、野菜のガルニチュールなど、「目で見る」多彩なガルニチュールをご紹介します。
それぞれの食材のフランス語名も掲載しますので、参考にして下さい(^^
フランス料理のガルニチュールの種類と名前
フランスのガルニチュールの種類で圧倒的に多いのはやはり、ジャガイモですが、ピューレは、フライドポテトと違い、美しいのです。
ピューレ
まずはピューレからみていきましょう。
ジャガイモのピューレ(高級繊細なピューレ)
ジャガイモのピューレでも、ここまで違うのかと思えるものがあります。
パリの14区にあります、日本人シェフのレストラン「Kigawa」のジャガイモのピューレです。
キメの細かいピューレで綺麗ですね(^^♪

ジャガイモのアイオリ・ピューレ
タラのアイオリソース添えです。
アイオリ(ニンニクと卵を混ぜたソース)がタラの上にかかっていますが、ジャガイモのピューレがお皿一面に敷かれて、その上にブリュッセルのミニキャベツやニンジンが添えられています。
ジャガイモのピューレがアイオリソースと見た目で同化していますね(^^♪

ニンジンのピューレ
ジャガイモピューレの次は、ニンジンのピューレが多く登場します。
メインディッシュの値段が高くなると、ガルニチュールの野菜が美味しいです。

キャッサバのピューレ
ギャッサバはフランスでもすこしエグゾチックな野菜で、野菜の割には粘りを感じる、日本のサツマイモの食感ににています。

メインが仔羊の肉に、キャッサバを付け合わせにしている一品です。
仔羊はそれだけで、グッと重みを感じるのですが、さらにキャッサバだと、ダブルで重いのが、味を淡白にしてあることで、肉のサバサバかんと、ピューレの粘りが微妙にあうものですね。
エピナールのピューレ
ジャガイモとニンジン以外のピューレとなると、ホウレンソウです。色の対比がしやすいです(^^♪
ニンジンの場合は、下に敷くということはないですが、ホウレンソウを下に敷いてその上にメインを乗せるというのが、多いですね。

ホウレンソウのピューレは、高級感があります。
野菜が高級かそうでないかということより、ホウレンソウのピューレは、高級店で出されています。
エピナール・トンベ
野菜のガルニチュールで、そのほかにホウレンソウがあります。フランス語でホウレンソウを「エピナール」と言います。
これは、トン(マグロ)のココナッツ風味エピナール添えで、盛り付けをトンベと言います。
お皿にホウレンソウを敷いて、その上にソテーしたマグロを立てかけて乗せています。
ホウレンソウとココナッツミルクは相性がいいです。

トマトのコンフィ
これはトマトのコンフィクリームです。 コンフィをミキサーにかけるとこんな形状になります。
一見するとニンジンに見えます。
乾燥させてオイル漬けにしますので、味が濃く、訴えるものがあります。
そのまま食べても美味しいのですが、コンフィをクリームにすると、違う演出です。

イベリコハムのガルニチュールには、トマトコンフィのピューレが。

では次にお米のガルニチュールをご紹介します。
お米
ライスのリゾット
ガルニチュールにはジャガイモ、ニンジンなどがメインですが、魚のガルニチュールには、『ライス』が使われることが多いです。
こちらは、サーモンのリゾット添えです。
ライスを牛乳で煮込んだ、リゾットです。バジルのソースを少しだけ添えています。

ライスのサフラン煮
白身魚のサフラン煮込みのライス添えです。
リゾット用のお米は、丸型の粘りのあるタイプですが、細長のお米は「ぱさぱさ」していますので、このように下に敷く形になります。
スープとサフランで煮ていますので、黄色が綺麗で、味もさっぱりしています。

ライスのエンドウ豆煮
ライスは、リゾットでエンドウ豆煮が。

パルメザンチーズもちりばめて、バランスがバッチリです。
野菜
アリコ・ヴェール
チキンのさやいんげん添えです。さやいんげんのことをフランス語で「アリコ・ヴェール」といいますが、ガルニチュールにフリットを選ぶ人がほとんどですが、チョイスとして、このさやいんげんもあります。
茹でるだけか、フライパンで炒めただけの簡単な味付けです。

フリットとクルジェット
英語でズッキーニですが、フランス語で「クルジェット」になります。
これは、チキンのフリットとクルジェット添えマデラソースかけです。

メインはあくまでもチキンです。正面から見ると角切りのフリットが見えます。

ニンジンのグラッセ
フランスで魚というと、タラが非常に多いです。
これはカフェのランチでは出てこないちょっとおしゃれなレストランの一品で、
「クロタラのオレンジパン粉焼きと野菜のグラッセ添え」です。
グラッセは、フライパンで素材にバターなどで炒めたり、煮汁などで煮込んで柔らかくして、艶出しすることを言います。
魚の背にオレンジ風味のパン粉を付けて焼いて、さらに黄色とオレンジのニンジンをグラッセしている、オレンジ色とオレンジが掛詞になっていて、ちょっと知的だなと思いました。

オベルジーヌのリスト
リストは、ラタトゥイユ(野菜の煮込み)と似ていますが、単品の野菜で作ることが多いです。
これはオベルジーヌ(ナス)のリスト(野菜の煮込み)で、黒タラのソテーのオベルジーヌのリスト添えです。

オベルジーヌのキャビア
ガルニチュールに、ナスが良く使われますが、ナスをリストよりもっと細かくしたものを
「キャビア」といいます。

このようなキャビアも作るのに、時間がかかるので、カフェではあまり出てきません。

ナスのキャビア、甘くておいしいです。 応用が利く野菜ですね。
クスクス
そして、最後にクスクスをご紹介します。
フランスでは、北アフリカ料理のクスクスはとても一般的に食べられています。ガルニチュールは、スムルと言います。下の写真では、右側にあるクリーム色の平べったいつぶつぶの小麦が、スムルです。

お皿にもりつけると、こんな感じです。チキンと、メルゲズ(ソーセージ)と野菜の煮込みです。

まとめ
ガルニチュールのいろいろな素材と形をご紹介しました。
フランスのレストランやカフェでは、肉料理と魚料理の割合は、肉料理が約6割から7割です。
しかし、肉のガルニチュールにも、ジャガイモのフライドポテト以外のものがあります。
アレンジを繊細に演出していますが、野菜を使っても必ずしもグラッセにするわけではなく、
ピューレ、
トンベ、
リスト、
キャビア、
コンフィ
と、アレンジは尽きません。
高級感いっぱいで、デザインと食感を楽しめます。