フランスのチーズは1000種類以上もあると言われており、非常に数が多いです。
それもそのはず、牛だけはなく羊やヤギ(山羊)の乳もあり、その上に発酵の仕方が違うからです。
発酵の違いの他に、チーズは地方によっても作り方も違います。
それぞれの地方で作られたものの特徴があり、そのまま食べるのか、メインディッシュの後に食べるのがいいのかもり、
合わせるワインやジャムや果物で味はとても変わります。
そんなフランスチーズですが、沢山あるチーズの種類をフランスでは、大まかに7分類に分けています。
これがフランス流正攻法の分け方、7つの分類を順に見ていきましょう(^^♪
フランスのチーズを7つに分類!

フランスでは数あるチーズを7分類に分けています(^^♪
水分を沢山含んでいる熟成期間のないフレッシュタイプ、熟成期間が長い、味に深みのあるタイプ、その他に青カビタイプなど、チーズの特徴ごとに分けています。
7つの分類は以下の通りです。
- フレッシュ・チーズ
- パット・モール・ア・クルート・フルリ(型で成型した外側が白カビタイプ)
- パット・モール・ア・クルート・ラベ(型で成型した外側がウオッシュタイプ)
- パット・プレッセ・ノンキュィット(圧縮された生乳無殺菌タイプ)
- パット・プレッセ・キィット(圧縮された生乳殺菌タイプ)
- パット・ぺルシレ(ブルーチーズ)
- フロマージュ・デゥ・シェーブル(ヤギのチーズ)
熟成期間によって、そのチーズの特徴が現れてきます。長ければ3年の熟成ともなり、味にコクがでてきます。
まずは、熟成期間のない、フレッシュチーズから(^^♪
1.フレッシュ・チーズ(fromage frais)
牛乳を回収して熟成を経過しない、水分が多いタイプです。
種類は、
- フロマージュ・ブラン(fromages blancs)
- フェッセル(faisselles)
など。
フロマージュ・ブランは、フレッシュタイプの代表的なチーズで、味もほとんどなく淡白なさっぱりした味です。
ワインと合わせて楽しむというより、デザートとしてジャムや蜂蜜をつけて食べます。または小腹がすいたときにおやつとして。

フロマージュ・ブラン
フェッセルはフロマージュ・ブランと比べても水分がさらに多く、美味しさが何で決まるかは、生乳の良し悪しと、作りたてかどうかです(^^♪

フェッセル
2.型で成型した外側が白カビタイプ
パット・モール・ア・クルート・フルリ(pâte mole à croûte fleurie) と言います。
フランス語で『モール』が型という意味なので、型に入れ成形した外側(クルート)が白カビ(フルリ)になったタイプのこと。
チーズの製造の過程で、回収した牛乳を大きいタンクに入れ、牛の胃液を混ぜて凝固させてから、容器(型)に入れて水分を抜いていきます。
同時にカビ菌を植え付けると外側に白カビが繁殖していきます。
その後、型から出し乾燥熟成を。
熟成期間は2週間から8週間くらいで、外側にカビが繁殖して乾燥していくのに対して、中身が柔らかくなり、味に個性が出てきます。
外側の白カビは食べても大丈夫です。
種類は、
- カマンベール(camemberts)
- クロミエ (coulommiers)
- ブリ (bries)
- ナフシャテル (neufchâtels)
など。 おやつにフランスパンやクラッカーなどと、もちろん食事の際にも。 カマンベールはフランスで一番食べられているチーズで、気候が温暖なノルマンディー地方で1年中作られているチーズです。外側が白カビだと感じない、マイルドな味です。

カマンベール(camemberts) 産地はノルマンディー
クロミエはカマンベールよりもっとクリーミーで、脂肪分がもっとあり、その分ふっくらとしたチーズ。
カマンベールと比較すると、下の画像から右のクルミエがよりクリーミーなのがわかります(左がカマンベールで右がクルミエ)。

クロミエ (coulommiers) 産地はパリ近郊のセンヌ・エ・マルヌ
ブリもクルミエと同じく、クリーミーな大型のチーズです。
大型な分、熟成期間もクルミエに比べて長くなり、ブリはクルミエよりもう少ししっとり感が欲しいという場合にはぴったりのチーズ。

ブリ(bries)産地はパリ近郊のシェジー・シュール・マルヌ
ナフ・シャテルもノルマンディー地方のチーズで、味はクリミエに似ていて、形がハート型が特徴。
このチーズなんと製造が中世から!ハート型で作られていたというので驚き(^^♪外側に近い部分の黄色い部分が程よく酸味が効いているのが特徴です。

ナフ・シャテル(neufchâtels)ハート型!産地はノルマンディー
カマンベールチーズの「ロティ」、オーブンで丸ごと焼いたり、グラタンに

カマンベール・ロティ
白カビのチーズを、メインディッシュの後に、ワインと一緒になら、以下の渋みのない赤ワイン
- アルザス地方のピノノワール
- ボジョレー
- ロワール地方のトゥレーンやアンジュ
などもお薦め、その他、同じノルマンディー地方のシードル酒↓も相性が良いです。

【赤のロワール地方のアンジュ(品種がカベルネフラン)↓】
カベルネフランは、とにかくフレッシュです。深みがどうというよりも口当たりがいいです。
3.型で成型した外側がウオッシュタイプ
パット・モール・ア・クルート・ラベ(pâtes molles à croûte lavée)
ラべがウオッシュの意味で、上記2のパット・モールタイプを外側を塩水洗いすると、白カビがなくなる代わりに、表面に粘りが出て、味がもっと強くなります。
熟成が進むことで、外側の色がオレンジ色へと変わり、臭みや個性が強~くなります。
オレンジの外側は食べても大丈!風味が強~いです。
熟成は4~8週間くらい。
- マンステ―ル(munsters)
- クリュ・ナンテ・オ・クリュ・エ・オ・ミュスカデ(curé nantais au lait cru et au muscadet)
- ラングル(langres)
- アフィデリス(affidelice)
- リバロ(livarot)
- ルブルション(reblochon)
- モン・ドール(mont d'or)
マンステ―ルは、丸形の外側を塩水で洗って作ったチーズで、臭いがきついわりには、味は濃くはないのです。
このマンステールには香辛料のクミンが相性が抜群。

マンステ―ル(munsters)産地はアルザス・ヴォ―ジュ地方[/caption]
クリュ・ナンテ・オ・クリュ・エ・オ・ミュスカデは、真ん丸で、外側を水洗いの代わりに白ワインのミュスカデを使っている非常に珍しいタイプ。 ウオッシュタイプには珍しく、噛みごたえのあるチーズ。
このチーズを洗うミュスカデワインは、ナント地方にのみあるワインの品種です。 クリュ・ナンテ・オ・クリュ・エ・オ・ミュスカデの『表面が波の模様』がなんとも綺麗(^^♪

クリュ・ナンテ・オ・クリュ・エ・オ・ミュスカデ(curé nantais au lait cru et au muscadet)産地はロワール
ラングルは、丸く固まって外側を水洗いの代わりにシャンパンを使っている非常に珍しいタイプです。
熟成期間が長くなると色が綺麗なオレンジ色へと変わり、上部のくぼみが深くなるのが特徴です。

ラングル(langres)産地はパリ近郊のオート・マルヌ[/caption]
アフィデリスは、丸く固まって外側を水洗いの代わりに白ワインのシャブリを使っている非常に珍しいタイプです。
熟成と共に色が変わり、オレンジを通り超えて、茶色に近くなり味に深みを感じるチーズ。

アフィデリス(affidelice)産地はブルゴーニュ地方
これら3つのウオッシュタイプのチーズを、シャンパン、白ワインのシャブリ、ムスカデで一緒にたべるのもおすすめ。
- リバロ
- ルブルション
- モン・ドール
については、こちら↓のラクレットチーズの記事を。
ウオッシュタイプのチーズは主張が強~く、オレンジ色になった外側が程よい苦みを出しているので、甘めの白ワインととても合います。ボルドーワインの『ソテールヌ』だと甘すぎるので、白ワインで少し甘めの
- アルザス地方のゲヴェルツトラミナー
がお薦め。
アルザスの白ワインは適度に草の香りが(^^♪
4.圧縮された生乳無殺菌タイプ
パット・プレッセ・ノンキュィット(pâtes pressées non cuites)といいます。
作り方は、上記のウオッシュタイプと同じで、直径が30㎝以上の大きな型に入れて、最初に水分を出す為に重しをかけて、水抜きをして乾燥させていきます。
大きなチーズで、乾燥させるのも時間がかかり、長期熟成して味に深みが出てきます。
外側の固い部分は食べても美味しくありません。
熟成は6カ月から2年くらいで、
- オッソー・イラティ(Ossau-Iraty )
- サン・ネクテール(Saint Nectaire )
- ラクレットチーズ(raclette)
- モルビエ(morbier)
など。
オッソー・イラティは、スペインとの国境付近のピレネー山脈のバスク地方で作られる羊乳のハードタイプのチーズで、色目が黄色というよりは白さが目立ち、羊乳で作られていてヘーゼルナッツの香りがします。
羊のチーズというと、「癖があるのでは?」と気になりますが、さらっと食べられます。
フランスパンやクラッカーにのせて、さらに『黒さくらんぼのジャム』も一緒につけて食べると格別です。

オッソー・イラティ(Ossau-Iraty )産地はバスク
フランス語でCerise Noirが黒さくらんぼ、この黒サンんぼのジャムは、ベルヴェーユのジャムです。。

サン・ネクテールは、オーベルニュ地方で作られるセミハードタイプのチーズ。
オーベルニュ地方は火山帯にもかかわらず、乳牛が放牧され、土や藁の香りを感じるのですね。食感はセミハードの典型と言えます。

サン・ネクテール(Saint Nectaire ) 産地はオーベルニュ地方
長期熟成のチーズは主張が強いので赤ワインなら
- コート・デュ・ローヌ
- ガイヤック
などの、しっかりと太陽を浴びたタンニンの強いワインがおすすめです。
コートドゥローヌは、地域的に日射量も多くタンニンが強く感じます。
5.圧縮された生乳殺菌タイプ
パット・プレッセ・キィット(pâtes pressées cuites )といいます。
同じ圧縮タイプでも、牛乳を殺菌して長期熟成して作るチーズがあります。熟成期間も1年から3年までと長くなるほど、個性豊かなチーズになっていきます。
熟成期間が長くなるほど、外側が固くなっていますので、残して食べない方がいいです。
- コンテ(comté )
- グリュイエール( gruyère)
- パルメザン( parmesan)
中でも一番熟成期間が長いのがコンテで、最長3年までなるものが。

コンテ(comté) フランシュ・コンテ地方
グリュイエールは穴あきのイメージですが、コンテのように、穴が開いていないのが主流です。

グルイエール( gruyère) サボア地方
そして、ハードタイプのパルメザン(^^♪ イタリアチーズで、塩分がピリっとするくらい効いていて、歯ごたえが良いのが人気の秘密でしょうか。

パルメザン( parmesan) イタリア産
お薦めのワインは、白なら
- ブルゴーニュ地方のマコンのシャルドネ
- ジュラ地方の黄色のワイン(ヴァン・ジョーヌ)
などが良いでしょう。

ジュラ地方の黄色のワイン(vin jaune)
赤ワインなら、タンニンがあって香辛料が効いた太陽を十分に浴びた『マディラン』は、ボルドーより50キロほど南の小さな区域のまだまだ知られていないワインです。 ボルドーよりもう少し重厚なワインと合わせる場合にオススメ。
6.ブルーチーズ
パット・ぺルシレ(pate perssilée)といいます。
青かびチーズのことです。この『perssilée』は、チーズの中にカビ菌があるタイプで、カマンベールのような外側がカビで覆われているのと対照的です。
生乳を凝固させる時に、青かびを入れてタンクで混ぜ、最後に外側を塩水洗いし熟成させます。
熟成期間が3カ月から6カ月くらい。
ハードタイプほどではないですが、外側の固い部分は食べても美味しくありません。
種類は
- ロックフォール(roquefort)
- サン・ト・オギュール(saint augur)
- フルム・ダンベール( fourme d’ambert)
など。
ロックフォールは、羊の乳を使用した青かびビチーズです。さっぱりとした塩味がきいた食べやすいチーズです。ロックフォールは羊の生乳で、黒サクランボのジャムと凄く合います(^^♪
サン・ト・オギュールはブルーチーズのなかでもクリーミーです。牛乳で作ったカビの味を感じないマイルドさがあります。
ロックフォールチーズは、羊乳ですので、ぽろぽろ感がありますが、このチーズは、クリーミー感では一番です。

サン・ト・オギュール(saint augur)
フルム・ダンベールはクリーミーというよりは、しっかりとした食感があり、程よい青かびを感じるブルーチーズです。
そして、このチーズは、上のサン・ト・オギュールと比べても、弾力があるチーズで、牛乳のチーズですので、ぽろぽろ感はないです。
若干、苦みがありますが、ブルチーズの苦みで食べやすいです。

フルム・ダンベール( fourme d’ambert)
合わせるワインは、重厚なボルドーの「ソテールヌ」や、ロワールの「ショーム」などの甘めなものがおすすめ。
また、ブルーチーズは、イチジクやカシスのジャムとも相性が良いのです(^^♪
ショームはロワール河の甘口の白ワインですが、日射量が少なく地域ですので、甘すぎないチーズで合わせたいときは抜群です。

7.ヤギのチーズ
フロマージュ・デゥ・シェーブル(fromages de chèvres)といいます。
フランスの大半のチーズは牛乳で、ヤギのチーズは変わりダネ。
ヤギ乳は生産量が少ない分、値段も高いのですが、やはりマイルド。熟成期間が1週間から数週間と短い分、食感が柔らかいのがヤギチーズの愛好家が多い理由でしょう。
- セル・スール・シェール(selles-sur-cher)
- ロカマドゥール(rocamadour)
- バノン(banon)
- フィグー(figou)
セル・スール・シェールはヤギのチーズでも、珍しく、周りを植物の灰で覆っているチーズです。ヘーゼルナッツの味を味わえます。冬の方が味が深いのですね。外側の黒い部分も食べられます。

セル・スール・シェール(selles-sur-cher)
ロカマドゥールは、ヤギのチーズでも一番有名でしょうか。形が小さく、直径が5cmで高さも1cmくらいのミニチーズです。
食感はとにかく柔らかく、食べるのが可哀想になるようなはかなさがあります。口の中でとろ~り。

ロカマドゥール(rocamadour)
バノンはヤギのチーズのなかでも、栗の葉で包まれているのが特徴ですね。(おにぎり)のようですね。
葉でくるまれて、熟成期間も長いので、味にもしっかり感が出ています。

バノン(banon)は クリの葉で包まれています。

バノン(banon)
(ヤギ)のチーズは、いろいろ変わり種が出ていますが、この『フィグー』↓が一番個性があると思うのが、イチジクのジャムが中央に入っています。ヤギのチーズとイチジクの相性は格別!
このフィグーなら、チーズとしてというより、デザートとしてそのまま「パクっと」食べるのもお薦め。
このヤギのチーズは、イチジクのジャムがはいっており、な雨がフィグーです。

フィグー(figou)
ヤギのチーズには白のフルーティなロワール地方のワインなどが合います。
長くなりましたが、最後に、
お薦めの変わりダネのチーズ
う~ん。やはりお薦めというと、ヤギや羊のチーズです。
ヤギのチーズは、熟成期間が短く、フレッシュな状態で売られますので、「ふわっ~」としていて、口に中で溶けていくのを感じます。
ヤギのチーズにはフレッシュタイプが多いのですが、中には熟成が進んでピリ辛になっているうのもあります。
いろいろ食べてみて、ヤギのチーズは奥が深いなってかんじます。
まとめ
チーズを一覧でご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか、?
チーズには赤ワインが合うというイメージが先行していますが、白のワインも相性が良いのがわかります。
もちろん、風邪を引いているなどで舌の状態が違うと、味にも影響がでてしまいます。
特にウオッシュタイプのチーズは、チーズ自体の個性が強いので、合わせるワインで悪い経験をしたという場合ありですね。
大型スーパーでは加熱殺菌して風味のなくなっているチーズが多いですが、チーズ屋さんに行くと、加熱殺菌していないチーズが多く、「うわっ」というくらいの臭いがお店の前に漂っています。
真冬でも玄関のドアを開けて営業しています。そのくらい、加熱殺菌をしないで作ったチーズには力があります。
この7つの分類は、レストランでも、チーズ店でもチーズを選ぶときには、グッドなツールです。